発達障害の当事者の方には、将来は結婚して家庭を持ちたいけれど自分には難しいかもしれないと考えている方も多いのではないでしょうか。
ADHDの夫を持つ私が、発達障害と結婚について改めて考えてみます。
そもそも診断が増えてきたのは最近
公的な統計はとられていないようですが、社会全体に発達障害に対する理解が広まったことで、以前であれば「強めの個性」として捉えられていた特性に「発達障害」の診断が下されてラベリングされることが非常に多くなったように思います。
実際、私の夫が発達障害と診断されたのは28歳の時です。
夫は自身が発達障害であることには気づかずごく普通に学生生活を送ってきました。そして大学卒業後は営業職としてバリバリ働いていました。
転機は27歳の時。営業から本社の管理部門に異動となり、デスクワークを多くこなすようになりました。その頃から仕事でミスを連発するようになり、精神的に追い詰められていきました。そして受診した心療内科でADHDと診断されたのです。
一度診断されるとそれにとらわれてしまう
診断を受けた時すでに私たちは結婚していたので、診断を受けた後の夫の変化を間近で見てきました。
一度診断を受けてしまうと、本人に今まではなかった「劣等感」「諦め」のようなものが見られるようになりました。
「どうせ俺は障害があるから」「俺には無理だ」とよく口にするようになりました。何かできないことがあるとすぐに「どうせ障害があるから」と努力しなくなってしまったのです。
正直な話、この状態になった後の彼と初めて出会っていたのなら、結婚どころか交際すらしていなかったと思います。
定型の人でも日々努力を重ねています。夫自身も診断を受ける前は努力してきました。しかし診断を受けたとたんに何もしなくなってしまったのです。姿に、同情しつつもかなり幻滅しました。
(自身の障害に気づく前のように、困難にぶち当たっても、すぐに諦めないでほしい。まずは努力や工夫をして乗り越える努力をしてほしい。そう夫を説得し励まし続け、今は改善されつつあります。)
発達障害があっても幸せな未来は描ける
発達障害の診断を受けた方は、過去に失敗や挫折をした経験を多くお持ちではないかと思います。
そうした過去にとらわれることで、結婚生活に明るいビジョンが持てなくなる気持ちも非常によくわかります。
ですが、結婚は未来の話です。今から努力をすることで、未来の結婚生活は明るいものになると思います。
私たちは結婚して5年になりますが、本当にいろんなこと(ここでは割愛します)がありました。
何か起きるたびに話し合い、許し合い、歩み寄る努力をしてきました。
でもそれは夫に発達障害があるからではなく、全く違う生い立ちの夫と私がひとつの家族になるために必要な努力でした。もし仮に夫に発達障害がなかったとしても、結婚生活を続けるためには同じように努力が必要だったはずです。
発達障害の診断を受けた方も、障害を理由に諦めたりせず、一人の人間として目の前の人と向き合いましょう。歩み寄る努力を続けることで、結婚とその先の明るい未来も拓けてくるのではないかと思います。